バイオ計測技術コンソーシアム(JMAC)活動紹介
JMACでは、会員企業様の事業発展の一助となるよう、次の活動を行っています。
1.国際標準化に関する事業
2.会員参加による調査・研究事業
3.一般企業や市民に向けた紹介・啓発活動
以下に、直近の実績に基づき、概要をご紹介します。
1.国際標準化に関する事業(2020年9月1日現在)
・極低濃度の核酸を対象とした精確な定量を可能とするため遵守すべき要求事項
開発テーマ「極低濃度の核酸を対象とした精確な定量を可能とするため遵守すべき要求事項」について、今年度より取り組みを始めました。本事業は、国立研究開発法人 産業技術総合研究所(産総研)とともに実施するもので、近年需要の高まる核酸定量における極低濃度化の進行に伴い、精確な定量を可能とするために遵守すべき要求事項を可視化することを目的としています。JMACでは、極低濃度核酸定量のための要求事項可視化のための調査や、規格原案の作成および関連TCにおける情報収集・ロビー活動を担当しております。活動の中心となる産業技術総合研究所と連携し、引き続き規格開発を推進してまいります。
・生鮮もしくは低次加工品中の機能性成分の定量試験のための試験方法・一般要求事項と定義の国際標準化に係る調査等
農林水産省事業による開発テーマ「生鮮もしくは低次加工品中の機能性成分の定量試験のための試験方法・一般要求事項と定義の国際標準化に係る調査等」について、昨年度より規格原案提案に向けた取り組みに参画し、今年度もこれを継続しております。本事業は独立行政法人 農林水産消費安全技術センター(FAMIC)の協力のもと、低次加工品中の内在性成分のうち、健康等に効果が期待される成分(一般に機能性成分と称される)の分析法に関する規格原案提案を推進するものです。提案先であるISO/TC 34においては新規にWGを設置し、国内ステークホルダーの意見集約のもと作成したNP文書の開発を進めて行く計画です。
・蛍光ナノ粒子を用いた生体分子解析システムの評価に関する標準化推進
JMACは、開発テーマ「蛍光ナノ粒子を用いた生体分子解析システムの評価に関する国際標準化」について、標準化事業を進めています。本事業は、経済産業省からの委託に基づくものです。
本事業では、日本において開発された高度なナノ粒子製造技術に関し、新たにバイオ研究分野の国際市場を獲得すべくISOでの国際標準化活動を実施しています。高い性能を持つ日本製品の優位性を示すことができ、国際市場で選択され得る機会が拡大するよう、日本企業の開発した蛍光ナノ粒子を応用可能な生体分子解析システムに関し、性能評価の一般要求事項についての標準化を行うことを目的としています。
・潜在疾患マーカー同定による新規創薬基盤技術のフィージビリティ研究
JMACは、国立研究開発法人 日本医療研究開発機構(AMED)「患者層別化マーカー探索技術の開発/潜在疾患マーカー同定による新規創薬基盤技術のフィージビリティ研究」に参画し、今年度2年目の事業を継続しております。本事業は産総研の夏目徹プロジェクトリーダーのもと、製薬企業3社を含む計9機関の協力により患者層別化マーカー探索技術の開発を進めるものです。JMACは、製薬企業と共同で、国際標準化を視野に入れた技術開発調査を行うとともに、プロジェクト全体の事務局機能を担い、国内バイオバンクとの橋渡しを進めます。このフィージビリティ研究を、次年度以降の本格研究事業に発展させるべく、プロジェクトを推進して参ります。
・科学技術イノベーション政策のための科学・研究開発プログラム
JMACは、2017年度より、国立研究開発法人 科学技術振興機構(JST)/RISTEXプロジェクト「先端医療のレギュレーションのためのメタシステムアプローチ」(研究代表者:東京大学大学院新領域創成科学研究科 加納信吾 教授)に参画しています。
本プロジェクトは、第1期「先端医療を対象とした規制・技術標準整備のための政策シミュレーション(平成25~28年度)、」に続く、第2期の研究プロジェクトとなります。
JMACは、国際標準化や規制の観点から、科学技術政策のための科学・研究開発プログラムの考察を行っています。
・国際標準化状況
JMACでは、下表に示す通り、数多くの標準開発に取り組んでおり、会員の皆様のビジネスに沿った、国際標準開発の支援を行うことが可能です。
表1. 現在開発している国際標準のリスト
※昨年度の事業に関する成果報告会で使用した発表資料は、JMACホームページから会員ページにログインして頂きますと、ダウンロードが可能です。
2.会員参加による調査・研究事業
<定例会の開催>
JMACでは月に一度、定例会を開催しています。定例会では、調査・研究事業の共同実施や、業界動向の紹介、標準化セミナーや会員企業様からの技術紹介等を行っています。*1
<第一部> 専門部会(登録会員向け)
専門部会にて、規格の策定や、規格策定に必要な試験データ収集のための共同試験等を行っています。専門部会は、会員企業のご要望により随時設置可能な会議体です。現在、以下の部会が設置されています。会員企業の方であれば、参加登録をして頂くことでいつでもご参加が可能です。
・ナノテクノロジー専門部会(活動内容):蛍光ナノ粒子を用いた生体分子解析システムの評価に関する国際標準開発を会員企業と共同で実施し、国内審議団体を通じてISOに提案中。現在、NP投票に向けて活動中。
<第二部> 全会員向け
・標準化に関するセミナー
事務局長が、標準化の基本的な知識から応用までの要諦を、自らの知見を交えて解説するプログラムです。最新のシリーズでは、事務局員との掛け合いを通しての実例紹介や、そこに見え隠れする問題点に焦点を当てての実践的な演習を行っており、ご参加の方々からはご好評を頂いています。
・特別講演
大学や研究機関の先端研究者を招聘して、最新の研究内容に関する講演を頂いています。こんな研究の講演を聴講してみたい、というご要望がございましたら、JMAC事務局までお寄せください。
※これまでの講演の演題と講師のリストを末尾に掲載します。
・その他、定例会では会員企業による企業紹介や、業界に関する情報提供を行っています。(例:直近の国際会議でのトピックス報告や、イベント告知など)また、定例会終了後には講師を囲んでの懇親会(不定期)も行っています。
*1[2020年3月~7月]
新型コロナウィルス感染症の蔓延による緊急事態宣言の発令、また同宣言解除後の感染拡大防止の為の対応要請等に基づき、対面での会議開催を見合わせました。
3.一般企業や市民に向けた紹介・啓発活動
・JMACシンポジウムの開催
バイオ分野の国際標準化に関連するテーマで一般向けに開催するシンポジウムです。
これまでに7回実施しました。本年度も企画の予定です。
第1回(2013年11月) 「遺伝子検査と国際標準化」
第2回(2015年1月) 「バイオ産業基盤としての国際標準化」
第3回(2015年11月) 「バイオ市場拡大戦略としての国際標準化」
第4回(2017年1月) 「バイオ市場と国際標準化」
第5回(2017年11月) 「バイオ大量データ時代のmiRNA最新研究から国際標準開発まで」
第6回(2019年1月) 「miRNA最新研究、国際標準化、リキッドバイオプシーのもたらす未来と展望」
第7回(2020年1月) 「バイオ未来予想図 ~イノベーションと社会基盤~」
・バイオ関連展示会への出展及びセミナーの実施
・関連学会や国際会議での講演・発表
JMACでは、会員企業の皆様のニーズに合ったサービスをより多く提供できるよう、アンケート等を随時実施しておりますので、ご協力の程よろしくお願いいたします。
また、ご要望やご質問等がございましたら、ご遠慮なく事務局までお知らせください。
【特定非営利活動法人バイオ計測技術コンソーシアム(JMAC)事務局】
メール:jmac [at] jmac [dot] or [dot] jp
電話: 03-6261-1947 / FAX:03-6261-1948
住所:東京都千代田区麹町2-4-10 三誠堂ビル6階
直近の特別講演一覧
[2020年8月] ※ オンライン会議形式にて再開しました。
「JMAC黎明期の活動と、今」
源間 信弘 先生
[2020年3月~7月]
新型コロナウィルス感染症の蔓延による緊急事態宣言の発令、また同宣言解除後の感染拡大防止の為の対応要請等に基づき、対面での会議開催を見合わせました。
[2020年2月]
「DNA・RNAシークエンスを利用した遺伝子発現解析/変異解析/環境DNA解析」
安江 博 先生
[2019年12月]
「がん免疫療法と腫瘍免疫学の最近の進歩:個別化・複合免疫療法の開発に向けて」
河上 裕 先生
[2019年11月]
「がん転移を標的とする抗がん剤の開発」
坂本 修一 先生
[2019年10月]
「消化吸収動態を考慮した栄養機能成分キャリアの開発と食品デザインへの展開」
黒岩 崇 先生
[2019年9月]
「口腔細菌叢解析から見えるもの」
山下 喜久 先生
[2019年8月]
「動物実験代替法システムとしての組織チップの開発 ―生命とは何かを理解するための合成生物学―」
田川 陽一 先生