バイオ計測技術コンソーシアム(JMAC)活動紹介

JMACでは、会員企業様の事業発展の一助となるよう、次の活動を行っています。

1.国際標準化に関する事業
2.会員参加による調査・研究事業
3.一般企業や市民に向けた紹介・啓発活動

以下に、直近の実績に基づき、概要をご紹介します。

1.国際標準化に関する事業(2023年 2月 1日現在)

極低濃度の核酸を対象とした精確な定量を可能とするため遵守すべき要求事項の標準化

 JMACは、本開発テーマについて、3年目の活動を進めております。本事業は、国立研究開発法人産業技術総合研究所とともに実施するもので、近年需要の高まる核酸定量における極低濃度化の進行に伴い、精確な定量を可能とするために遵守すべき要求事項を可視化し、ISOへ国際標準化提案を行うものです。JMACでは、極低濃度核酸定量のための要求事項可視化のための調査や、規格原案の作成および関連 TCにおける情報収集・ロビー活動を担当しております。活動の中心となる産業技術総合研究所と連携し、規格開発を推進しております。

バイオバンク横断検索システムに関する国際標準化

 JMACは、本年度より国立大学法人東北大学の荻島先生が中心となり推進する、本件標準化活動に参画しております。本事業は、バイオバンクにおける試料・情報の検索対象項目を明確化し、欧州のバイオバンクネットワークで利用されている検索対象項目とハーモナイズを図った上で、様々なバイオバンクの保有試料・情報を検索可能とするため、世界共通の分散型の検索 APIを標準化するものです。JMACでは、バイオバンク横断検索システムの海外対応横断検索 API要求事項の調査を東北大学と連携して実施しております。

血液バイオマーカーによる認知症の統合的層別化システムの開発

 JMACは、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)「患者層別化マーカー探索技術の開発/血液バイオマーカーによる認知症の統合的層別化システムの開発」に参画しております。本事業は、国立長寿医療研究センター(NCGG)中村昭範プロジェクトリーダーのもと、2019年度より多数の研究機関の連携により「BATONプロジェクト」として進められてきたもので、JMACは前進のフィージビリティ研究(BioSHIP)を構成していた9機関と共に、2021年度から参画しています。 JMACは、製薬企業と共同で、国際標準化を視野に入れた技術開発調査を行うとともに、BioSHIPユニットの事務局機能を担い、BATON事務局と連携しながらプロジェクトを推進しております。

生鮮もしくは低次加工品中の機能性成分-ほうれんそう中のルテインの定量のための高速液体クロマトグラフ法の国際規格化に係る調査等

 農林水産省事業による開発テーマ「生鮮もしくは低次加工品中の機能性成分-ほうれんそう中のルテインの定量のための高速液体クロマトグラフ法の国際規格化に係る調査等」について、規格原案提案に向けた取り組みに参画し、今年度もこれを継続しております。本事業は、独立行政法人農林水産消費安全技術センター(FAMIC)の協力のもと、低次加工品中の内在性成分のうち、健康等に効果が期待される(一般に機能性成分と称される)成分の分析法に関する規格原案提案を推進するものです。

食品又は農産物における相対モル感度を利用した試験方法の日本農林規格化に係る調査等

 今年度より、農林水産省事業による開発テーマ「食品又は農産物における相対モル感度を利用した試験方法の日本農林規格化に係る調査等」について、規格提案に向けた取り組みに参画しております。本事業は国立医薬品食品衛生研究所の杉本直樹先生を中心に、FAMICと連携しながら JAS規格開発を行うものです。 JMACは、標準開発委員会を設置・運営し、専門家及び関係者との議論を重ねながら規格原案の作成を進めております。

溶液中で非解離性水素核を有する食品に対する水素核定量核磁気共鳴分光法(1H qNMR法)に関する国際標準化

 JMACでは、食品に関する分析に用いられる標準物質の値付け等に、qNMRによる測定を応用する際の要求事項をまとめた国際標準開発の支援を実施して参りました。
 本国際標準提案は、国立医薬品食品衛生研究所並びに国立研究開発法人産業技術総合研究所がリードして進められ、2022年12月に、ISO24583「定量核磁気共鳴分光法-食品に利用される有機化合物の純度評価 1H NMR内標準法のための一般的要求事項」(英文タイトル: Quantitative nuclear magnetic resonance spectroscopy-Purity determination of organic compounds used for foods and food products -General requirements for 1HNMRinternal standard method)として発行されました。JMACはセクレタリーとして、会議のアレンジ全般、コメントの取り纏め、ドラフトの修正等の支援を実施しました。

ルール形成戦略に係る調査研究(MPSに関する調査)

 JMACでは、今年度、経済産業省の実施する本件事業の受託をいたしました。本事業は、医薬品の動物実験代替試験ならびにヒト細胞を用いるより精度の高い前臨床試験の代替として注目されている MPS(Microphysiological System)について、標準化、規制・基準、そして競合品の動向調査を実施し、制度及び、技術的課題、国際市場の分析をもとに、日本の MPS産業がグローバルシェアを獲得するために必要な取り組みについて提案することを目的として実施しております。

国際標準化の進捗状況

 JMACでは、数多くの標準開発に取り組んでおり、会員の皆様のビジネスに沿った、国際標準開発の支援を行うことが可能です。JMACが開発に関わる規格案の状況は、以下のWebページでご覧頂けます。
https://www.jmac.or.jp/standardization_activity/status/

※ 昨年度の事業に関する成果報告会で使用した発表資料は、JMACホームページから会員ページ(パスワード入力が必要です)にログインして頂きますと、ダウンロードが可能です。

2.会員参加による調査・研究事業

定例会の開催

 JMACではおよそ一月に一度の頻度で、定例会を開催しています。定例会では、調査・研究事業の共同実施や、業界動向の紹介、標準化に関するセミナーや会員企業様からの技術紹介等を行っています。(*1)

・標準化に関するセミナー、勉強会等

 標準化の基本的な知識から応用までの要諦を、事務局長が自らの知見を交えて解説する標準化セミナーや、会員企業のご協力によるバイオ計測関連技術の勉強会などを、定例会の中で開催しております。標準化セミナーでは、事務局員との掛け合いを通して実際の事業遂行で見え隠れする問題点に焦点を当てた実践的な演習なども行い、ご参加の方々からご好評を頂きました。 COVID-19パンデミックの影響でオンライン開催となりました定例会においても、同様の趣旨のセミナーを再開する計画です。今後のプログラムについては、随時ホームページでご案内いたします。ご期待ください。

特別講演

 大学や研究機関の先端研究者を招聘して、最新の研究内容に関する講演を頂いています。こんな研究の講演を聴講してみたい、というご要望がございましたら、JMAC事務局までお寄せください。
※ これまでの講演の演題と講師のリストを末尾に掲載します。

・その他、定例会では会員企業による企業紹介や、業界に関する情報提供を行っています。
(例:直近の国際会議でのトピックス報告や、イベント告知など)
また、定例会終了後には講師を囲んでの懇親会(不定期)も行っています。
※ 現在は、定例会もオンラインでの開催のため、不定期でオンラインでの懇親会をご案内中です。

専門部会(登録会員のみによる活動になります)
 専門部会にて、規格の策定や、規格策定に必要な試験データ収集のための共同試験等を行います。専門部会は、会員企業のご要望により随時設置可能な会議体であり、会員企業の方であれば、参加登録をして頂くことでいつでもご参加が可能です。
 現在の状況は会員の皆様から標準化ニーズを募集しているところです。自社の製品をグローバルな市場で展開することを想定していただければ、そのためのルール作りにつながる活動を会員企業、事務局で一緒に進めて行きたいと考えております。

*1[2020年8月から現在まで]
 新型コロナウィルス感染症の蔓延による緊急事態宣言の発令、また同宣言解除後の感染拡大防止の為の対応要請等に基づき、オンライン会議形式にて開催を継続しています。

3.一般企業や市民に向けた紹介・啓発活動

JMACシンポジウムの開催

 バイオ分野の国際標準化に関連するテーマで一般向けに開催するシンポジウムです。これまでに10回実施しました。

第1回(2013年11月) 「遺伝子検査と国際標準化」
第2回(2015年1月) 「バイオ産業基盤としての国際標準化」
第3回(2015年11月) 「バイオ市場拡大戦略としての国際標準化」
第4回(2017年1月) 「バイオ市場と国際標準化」
第5回(2017年11月) 「バイオ大量データ時代のmiRNA最新研究から国際標準開発まで」
第6回(2019年1月)   「miRNA最新研究、国際標準化、リキッドバイオプシーのもたらす未来と展望」
第7回(2020年1月) 「バイオ未来予想図 ~イノベーションと社会基盤~」
第8回(2021年2月)   「産業化するPCR検査 ~一般用語化したPCR検査、一般用語化していない精度管理~」
第9回(2022年2月)   「コロナ時代のバイオ計測技術の貢献」
第10回(2023年1月) 「バイオ未来予想図~イノベーションと社会基盤、10年後のバイオ~」

バイオ関連展示会への出展及びセミナーの実施
関連学会や国際会議での講演・発表

 

 JMACでは、会員企業の皆様のニーズに合ったサービスをより多く提供できるよう、アンケート等を随時実施しておりますので、ご協力の程よろしくお願いいたします。また、ご要望やご質問等がございましたら、ご遠慮なく事務局までお知らせください。

【特定非営利活動法人バイオ計測技術コンソーシアム(JMAC)事務局】
    メール:
    電話: 03-6261-1947 / FAX:03-6261-1948
    住所:東京都千代田区麹町2-4-10 三誠堂ビル6階

直近の特別講演一覧 

[2022年 12月]
「国立感染症研究所における新型コロナウイルス検査法開発と感染症対策における大学の役割」
 直 亨則 先生

[2022年 11月]
「自発光植物デバイスの創出と社会実装に向けた展望」
 永井 健治 先生

[2022年 10月]
「血小板血栓のリアルタイムイメージング」
 田村 典子 先生
 
[2022年 9月]
「下水サーベイランスによる感染症流行検知技術の現状と今後の展望」
 本多 了 先生

[2022年 8月]
「エングラム細胞による記憶情報の符号化の様式」
 大川 宜昭 先生

[2022年 7月]
「医療機関におけるこれからのがんゲノム検査」
 畑中 豊 先生

[2022年 5月]
「わが国のバイオバンク・ネットワークの構築と標準化活動について」
 荻島 創一 先生

[2022年 4月]
「酵素:そのかたちと機能、分類・命名について」
 伏信 進矢 先生

活動実績(2021年度版)はこちら