JMAC活動紹介
JMACでは、会員企業様の事業発展の一助となるよう、大きく分けると以下の3つの活動を行っております。
1.国際標準化に関する事業
2.会員参加による共同研究開発
3.一般企業や市民に向けた紹介・啓発活動
以下に、昨年度の実績に基づき、概要を紹介申し上げます。
1.国際標準化に関する事業(2018年9月1日現在)※
・遺伝子関連データベースの品質評価に関する標準化の推進(3年間の2年目)
JMACは、2017年度より、開発テーマ「遺伝子関連データベースの品質評価に関する国際標準化」のもと、新たな規格原案提案に向けて、取り組みを行っています。本事業は、経済産業省委託による工業標準化推進事業委託費・戦略的国際標準化加速事業(政府戦略分野に係る国際標準化活動)に基づくものです。
本事業の目的は、データベースの品質に関する国際標準化を我が国自らリードし、遺伝子検査を開発する際の基礎となる核酸配列データベースなど、遺伝子関連データベースの国際的な品質基準を構築することです。具体的には、3ヶ年の内に、規格原案を作成し、ISOへ新業務項目提案(NP*)することを目指します。2017年度においては、データベースに関する技術調査、バイオバンクデータベース関連の調査、ISO会議への出席を通じて、海外のエキスパートと連携し、規格提案を行う要件を整えることができました。今年度は、(1)バイオバンクデータベースを対象とした標準化、(2) データベースの品質指標の標準化を中心に活動を進めてまいります。
*NP(NWIP): New Work Item Proposal(新業務項目提案)
(日本規格協会「統合版ISO補足指針の和英対訳版」に基づく)
※昨年度の事業に関する成果報告会(6/4)プレゼン資料は、JMACホームページから会員ページにログインして頂きますと、ダウンロード可能です。
・ゲノム解析および多項目遺伝子関連検査に関する標準化の推進(3年間の2年目)※
JMACは、2017年度より開発テーマ「ゲノム解析及び多項目遺伝子関連検査に関する国際標準化」のもと、新たな規格原案提案に向けて、取り組みを行っています。本事業は、経済産業省委託による工業標準化推進事業委託費・戦略的国際標準化加速事業(政府戦略分野に係る国際標準化活動)に基づくものです。本事業は、国立研究開発法人 産業技術総合研究所(産総研)が、リーダー役を務めており、国立研究開発法人 理化学研究所(理研)とJMACが共同参画しています。
本事業の目的は、産総研ならびに理研とともに、“標準物質によるNGSデータの精度管理に関する要求事項”を標準化のターゲットとして想定し国際標準案を作成することです。JMACは、担当項目として「ゲノム解析および多項目遺伝子関連検査に関する国際標準化」を中心に、標準化及び規制の両面から、調査及びロビー活動を実施してまいります。
初年度は、ゲノム解析の妥当性評価と精度管理に関する一般的定義および要求事項について、ISO/TC 276/WG 3における調査を行い、多項目遺伝子関連検査について、ISO/TC 212における調査を行いました。今年度は、実用化検討を経て、規格開発活動を推進します。
・蛍光ナノ粒子を用いた生体分子解析システムの評価に関する標準化の推進(3年間の1年目)※
開発テーマ「蛍光ナノ粒子を用いた生体分子解析システムの評価に関する国際標準化」について、新たな標準化事業を開始しました。本事業は、経済産業省委託による工業標準化推進事業委託費・戦略的国際標準化加速事業(政府戦略分野に係る国際標準化活動)に基づくものです。
本事業では、日本において開発された高度なナノ粒子製造技術に関し、新たにバイオ研究分野の国際市場を獲得すべく国際標準化を実施します。本事業は3ヶ年計画となっており、最終年度に、ISO/TC 229/WG 5 (ナノテクノロジー専門委員会/製品・応用)において、DIS* 投票を行うレベルまで持っていくことを目標としています。初年度は、国内外のコンセンサス確立に注力する予定です。
*DIS: Draft International Standard(国際規格原案)
・体液中マイクロRNA測定技術基盤開発(5年間の5年目)※
JMACは、開発テーマ「体液中マイクロRNA測定技術基盤開発」(プロジェクトリーダー:落谷 孝広 国立がん研究センター研究所 分子細胞治療研究分野 プロジェクトリーダー)に参画しています。本事業は、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)による次世代治療・診断実現のための創薬基盤技術開発事業に基づくものです。
JMACは、開発テーマ「患者体液中miRNAの網羅的解析」ならびに「疾患横断的に解析可能なmiRNA発現データベースの構築」に参画しており、研究活動を進めてきました。具体的には、(1)標準試料(標準血清)の整備と頒布、(2)FCS(蛍光相関分光法)によるワーキングスタンダードの値付け技術の開発、(3)標準物質によるマイクロアレイの精度管理手法確立のための基礎データ収集、(4)データ活用会議の開催、(5)国際シンポジウムの開催などを行いました。
JMACが、プロジェクト参画者の間のハブとなり、標準試料(血清、核酸)やデータセットの受け渡し、データ活用会議を行うことで、プロジェクトの推進に大きく貢献しています。更に今年度は最終年度にあたり、プロジェクトを代表して、JMACが成果報告会の幹事役を務めます。本成果報告会は、今年度のJMACシンポジウムとの掛け合わせで実施する計画です。
・科学技術イノベーション政策のための科学・研究開発プログラム(3年間の2年目)※
JMACは、2017年度より、国立研究開発法人 科学技術振興機構(JST)/RISTEXプロジェクト「先端医療のレギュレーションのためのメタシステムアプローチ」(研究代表者:東京大学大学院新領域創成科学研究科 加納信吾 准教授)に参画いたしました。
本プロジェクトは、第1期「先端医療を対象とした規制・技術標準整備のための政策シミュレーション(平成25~28年度)、」に続く、第2期の研究プロジェクトとなります。
JMACは、国際標準化や規制の観点から、科学技術政策のための科学・研究開発プログラムの考察を行います。
2017年度は第1期で作成した個別化医療についてのフォワード・シナリオプランニング(将来シナリオ)の実装に向けて、国内外のステークホルダーとディスカッションを行いました。今年度も活動を継続します。
2.会員参加による共同研究開発
<定例会(旧、ワーキンググループ会議)の開催(二部制)>
JMACでは月に一度定例会を開催しています。研究・事業の共同実施や、業界動向のご紹介、標準化セミナーや会員企業様からの技術紹介等を行っております。
<第一部> 専門部会(登録会員向け)
専門部会にて、標準規格の策定や、規格策定に必要な試験データ収集のための共同試験等を行っております。専門部会は、会員企業のご要望により随時設置可能な会議体です。現在、以下の2つの部会が設置されております。既設の専門部会へは、参加登録をして頂くことでいつでもご参加が可能です。
・精度管理専門部会(活動内容:臨床検査機器の測定妥当性評価に関する国際規格開発において、共同試験を実施し、ISOへの提案文書作成に寄与)
・合成核酸専門部会(活動内容:「合成核酸の製造方法」(JMAC標準)を制定。現在、国内審議団体を通じてISOに提案中)
※ 現在、ナノテクノロジー関連の専門部会設置を検討中です。
<第二部> 全会員向け
・標準化に関するセミナー
事務局長が、標準化の基本的な知識から応用までの要諦を、自らの知見を加えて解説します。最新のシリーズでは、事務局員との掛け合いを通して実例を紹介し、そこに見え隠れする問題点に焦点を当てての実践的な演習がご好評を頂いています。
・特別講演
大学や研究機関の先端研究者を招聘して、最新の研究内容に関する講演を頂いております。本講演企画は会員企業様にも大変ご好評を頂いており、講演のみをご聴講頂く方も少なからずいらっしゃいます。こんな研究の講演を聴講してみたい、というご要望がございましたら、JMAC事務局までお寄せください。
※ これまでの講演の演題と講師のリストを末尾に掲載いたします。
・会員企業による企業紹介
定例会では、その他、業界に関連する情報提供を随時行っています。
(例:直近の国際会議でのトピックス報告や、イベント告知など)
また、定例会終了後には講師を囲んでの懇親会(不定期)も行っております。
3.一般企業や市民に向けた紹介・啓発活動
・JMACシンポジウムの開催
バイオ分野の国際標準化をテーマに、一般向けに開催するシンポジウムです。これまでに5回実施いたしました。本年度も企画中です。
第1回(2013年11月) 「遺伝子検査と国際標準化」
第2回(2015年1月) 「バイオ産業基盤としての国際標準化」
第3回(2015年11月) 「バイオ市場拡大戦略としての国際標準化」
第4回(2017年1月) 「バイオ市場と国際標準化」
第5回(2017年11月) 「バイオ大量データ時代のmiRNA最新研究から国際標準開発まで」
第6回(2019年1月予定) 「miRNA最新研究、国際標準化、リキッドバイオプシーのもたらす未来と展望」
・バイオ関連展示会への出展
・関連学会や国際会議での講演・発表
JMACでは、会員企業の皆様のニーズに合ったサービスをより多く提供できるよう、アンケート等を随時実施しておりますので、ご協力の程よろしくお願いいたします。また、ご要望やご質問がございましたら、ご遠慮なく事務局までお知らせください。
【JMAC事務局(連絡先)】
メール:jmac [at] jmac [dot] or [dot] jp
電話: 03-6261-1947 / FAX:03-6261-1948
住所:東京都千代田区麹町2-4-10 三誠堂ビル6階
<ご参考>
直近の特別講演一覧
[2017年10月]
「幹細胞を用いた化学物質リスク情報共有化コンソーシアムの紹介」
藤渕 航 先生
[2017年11月]
「ISO/TC 34/SC 9の活動状況とわが国の関与について」
諸藤 圭 先生
[2017年12月]
「脳脊髄液バイオバンキングとバイオマーカーの開発」
服部 功太郎 先生
[2018年2月]
「ナノニードルによる生細胞の解析・操作技術」
中村 史 先生
[2018年3月]
「食品安全とISO国際標準化に関する動向」
五十君 靜信 先生
[2018年4月]
「オルガノイド培養による難治性がんのin vitroモデルの構築と創薬研究への応用」
齋藤 義正 先生
[2018年5月]
「 牛の乳房炎防除は乳汁中の原因微生物をいかに感染初期に発見するかが鍵」
林 智人 先生
[2018年8月]
「ナノテクノロジーの国際標準化 -ISO/TC 229の現状と展望-」
一村 信吾 先生