◆第6回JMACシンポジウム開催報告

2019年1月24日、25日の2日間にかけて、東京国際フォーラム(ホールB5)において、第6回JMACシンポジウム「miRNA 最新研究、国際標準化、リキッドバイオプシーのもたらす未来と展望」が開催され、講演者、関係者を含めおよそ420名の方に参加いただきました。座長は、国立がん研究センターの落谷孝広先生とJMACの中江裕樹事務局長が交代で務めました。
国際標準化のセッションでは、米国政府一次閉鎖の影響を受け、NISTのClare Allocca氏の来日がかなわなくなり、急遽FIRMの柳田豊氏(アステラス製薬)が代理として、ISO/TC 276 バイオテクノロジー専門委員会における活動について講演してくださいました。このセッションでは、バイオ分野でISO会議に出席し、日本を代表して国際標準化に取り組んでおられる方々、あるいは国際規模でコンセンサスを得るための努力をされている方々から、新規技術が社会にもたらされイノベーションが起きるその背景には、国際標準というインフラが欠かせないことが紹介されました。
AMED体液中マイクロRNA測定技術基盤開発プロジェクトの成果報告のセッションでは、プロジェクト参画機関から代表者の方が、それぞれの研究成果を発表していただきました。乳癌や大腸癌をはじめとするがんあるいは認知症で見いだされたmiRNAマーカー候補や、解析アルゴリズム、AI技術を応用したバイオマーカー検索が紹介されました。
miRNA測定・検出システムを開発する企業メンバーからは、DNAチップ、電気化学的な方法、non-PCR型、あるいはエクソソーム抽出等々各社の得意技術を生かした開発の進捗状況が報告されました。
リキッドバイオプシー技術の未来と展望のセッションでは、 AMED体液中マイクロRNA測定技術基盤開発プロジェクトの成果を踏まえ、専門家の先生方を国内外から招聘し、講演ならびにパネルディスカッションを行いました。落谷先生からは、miRNAを内包しているエクソソーム(細胞外小胞)による診断技術の可能性が紹介されました。さらにmiRNA研究では、台湾大学との共同研究(乳癌)が始まっていること、医療応用にはreproducibility(再現性)が担保されていなければならないこと、検査における精度管理の重要性を認識すべきことが紹介されました。リキッドバイオプシー技術ががんの早期発見に留まらず、未病の領域やがんの再発の発見(再発の早期発見)、薬剤応答にも広がり、近い将来必ず身近なものになることが明示され、シンポジウムは盛会のうちに閉会しました。
ポスター会場の様子